就活をする上で皆さんの多くが気になることは、なるべく高くて安定した収入・地位・世間体、充実したワークライフバランスを確保することだと思います。
そのためにCMや広告、街中でよく見かけるような有名な大企業への就職を目標とする方も多いでしょう。
しかしそんな有名企業には就活生の応募が殺到し、面接はおろかエントリーシートの段階ではじかれてしまうことも多々あります。
そこで考えるのはあまり有名ではないけれども知る人ぞ知る独立行政法人を志望するという選択肢です。
独立行政法人とは、国民の生活や経済の安定に必要な事務や事業のうち、国が直接実施する必要はないけど、民間企業だと難しい事業をやるための法人のことをいいます。
「準公務員」「みなし公務員」などとも呼ばれ、公務員と民間企業の中間にある存在です。
理由その1.そこそこ高い給料がもらえる
一部の法人については、公務員よりも給料がはるかに高く、30歳で600万円、40歳で800万以上をもらっている法人もあります。
給料が高い理由の一つとして、業務の独占性が考えられます。
独立行政法人は、民間企業では実施が難しい公共的な事業を行うため、業界への参入障壁の高さなどから競争相手が少なくなりがちです。
競争相手が少ない分価格競争も起こりにくく、継続的に価値を生み続けることができることから、給与水準も高額になっていると予想できます。
また公務員と異なり労働基準法が適用されるため、残業代が100%つくことも理由として考えられます。労基署の立ち入り調査などが行われることもありますので、サービス残業は少ないのではないでしょうか。
ちなみに公務員は年間で予算が決まってるため、ある一定の残業時間に達するとそれ以上は残業代がつかないことがあります。労働基準法の適用外で労基署の調査がないこともサービス残業を助長する一因でしょう。
理由その2.公務員と同等の福利厚生が受けられる
諸手当に関しては、通勤手当、時間外勤務手当、住居手当、扶養手当など充実しています。
通勤手当は月55000円まで、住居手当は月28000円までのところが多いようです。
休みに関しても、完全週休二日制がほとんどで、年次有給休暇や特別休暇も取得することができます。
年次有給休暇は初年度が15日、翌年以降は20日以降付与(余った分については20日を限度に繰越可能)されることが多いです。
共済も国家公務員共済に加入することができ、宿舎等が用意されている場合もあります。
理由その3.厳しいノルマがない
営業職ではなく、ホワイトカラーの事務系職員なので、毎月の厳しいノルマがないことがほとんどなのが特徴です。
プレッシャーも少なく、数字を詰められることがないため、銀行や証券会社などから転職してくる方も多いです。
日々のワークライフバランスをしっかりしたい方におすすめです。
理由その4.比較的安定した地位が得られる
国の機関ということで、世間体や、社会的な信頼性、自分のプライドもある程度満たせるかもしれません。
「独立行政法人○○○○機構に勤めています」と言われると、あまりその法人をよく知らなくても「なんかすごそう」と感じる人が多いのではないでしょうか。
リストラに関しては、事業仕分けなどで独立行政法人が統廃合することがありましたが、現在はほとんどありません。
仮に統廃合したとしても、職員の雇用が最優先とされており、統合先に異動するか、新たに設立された団体に採用されるか、霞が関の府省庁に異動になることがほとんどです。
理由その5.公務員試験の勉強が不要
マイナビやリクナビで求人が出ているので、民間企業と同じようにエントリーシートを書き、グループディスカッションを受け、SPIを受験し、面接をいくつか突破すれば内定が出ます。
大学生の早い段階から公務員試験の勉強を始める必要がないため、貴重な大学生活を部活・サークル・アルバイト・インターン・ボランティアなど人生を豊かにする有意義な活動に充てることができます。
もし大学生活のほとんどを公務員試験に費やして、どこの官庁からも内定が出なかった場合、それは果たして有意義な大学生活だったと言えるのでしょうか?
理由その6.霞が関の省庁に出向する機会がある
政策立案現場を間近で見ることができるので、民間企業ではなかなか経験しづらく、貴重な経験になるでしょう。
法人での業務と省庁での業務は内容はもちろん、スピード感・規模感なども大きく異なるため、これまでとは異なるスキルや考え方を身に着けることができます。
出向前の業務と比較して仕事することで、多角的な視点を涵養することができますし、交渉力・折衝力もかなり鍛えられるのではないでしょうか。
原則数年で元の法人に戻ることになりますが、能力が評価されて本人が希望すればそのまま転籍できるチャンスがあることも魅力の一つです。
キャリア形成の機会としてこのような制度があることは非常に恵まれていると思います。
理由その7.仕事のスケールが大きくて社会的な貢献度が大きい
ひたすら利益を追求する民間企業とは違い、国民生活の安定と社会や経済の発展のために仕事ができます。
国の政策を着実に実行する実働部隊の面もあるので、比較的規模の大きい仕事を任せられることが多いです。
理由その8.若くして専門性が高い仕事ができる
新型コロナ、不景気、年金、格差社会、少子高齢化、領土問題、地球温暖化──現代の社会が抱える諸問題は複雑に絡み合い高度化しています。
こうした諸問題に対応するために、金融、環境、医療など特定分野における深い造詣を深め、スペシャリストとして専門性が高い仕事に従事できます。
各法人が実施する事務・事業は様々ですが、主に金融業務、人材育成業務、文化振興・普及業務、研修施設運営業務、公共事業執行業務、助成・給付業務、国際業務、研究開発業務などに大別できます。
特定分野の高度な専門能力に加えて、政府の政策や戦略の実現のため、プロジェクトの企画立案・審査、多岐にわたる関係者との調整・交渉等の行政官としての専門能力も必要になります。
おすすめの独立行政法人6選
最後に、おすすめの独立行政法人を独断と偏見で選んでみました!
※各採用データは2021年2月1日現在の情報で、各団体の採用ホームページなどから取得しました。
1.国民生活センター
国民生活センターは、消費者庁が所管する独立行政法人です。
平均年収600万円以上 | 平均年収700万円以上 | ||
全国転勤なし | 勤務地が1か所のみ | ||
採用数10名以上 | 採用数50名以上 |
2.高齢・障害・求職者雇用支援機構
高齢・障害・求職者雇用支援機構は、厚生労働省が所管する独立行政法人です。
平均年収600万円以上 | 平均年収700万円以上 | ||
全国転勤なし | 勤務地が1か所のみ | ||
採用数10名以上 | 採用数50名以上 |
3.日本学術振興会
日本学術振興会は、文部科学省が所管する独立行政法人です。
平均年収600万円以上 | 平均年収700万円以上 | ||
全国転勤なし | 勤務地が1か所のみ | ||
採用数10名以上 | 採用数50名以上 |
4.環境再生保全機構
環境再生保全機構は、環境省が所管する独立行政法人です。
平均年収600万円以上 | 平均年収700万円以上 | ||
全国転勤なし | 勤務地が1か所のみ | ||
採用数10名以上 | 採用数50名以上 |
5.日本貿易振興機構
日本貿易振興機構は、経済産業省が所管する独立行政法人です。
平均年収600万円以上 | 平均年収700万円以上 | ||
全国転勤なし | 勤務地が1か所のみ | ||
採用数10名以上 | 採用数50名以上 |
6.日本年金機構
日本年金機構は、厚生労働省が所管する特殊法人で、独立行政法人と似た団体です。
平均年収600万円以上 | 平均年収700万円以上 | ||
全国転勤なし | 勤務地が1か所のみ | ||
採用数10名以上 | 採用数50名以上 |
独立行政法人が人気な理由:まとめ
ノルマがなく、そこそこの給料と安定した身分で定年まで働き続けることができるのはとても大きな魅力です。業務の専門性の高さも人気の理由の一つでしょう。
もちろんすべての独立行政法人に上記のメリットが当てはまるわけではありませんので、しっかり情報収集して検討してくださいね。