新型コロナウイルスの感染拡大が拡がる2021年3月、政府が長時間や5人以上の会食自粛を求め、東京都も午後9時までの時短営業を要請していた中で、新型コロナウイルス感染症対策を担う厚生労働省の職員23人が深夜まで飲食店で送別会をしていた問題。
経過
2021年1月8日~2021年3月21日
新型コロナウイルス感染症の拡大抑制のため、政府は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に対して2回目の緊急事態宣言を発令した。不要不急の外出や移動自粛の要請(特に20時以降の外出自粛の徹底)、イベントの制限などが内容となっている。
2021年3月22日
緊急事態宣言が全面解除されたものの、依然として感染拡大状況が続いているとして、政府は国民に対し、引き続き長時間や5人以上の会食を極力控えるよう呼びかけた。
また東京都は飲食店等の事業者に対し、午後9時までの時短営業を引き続き要請した。
2021年3月24日
厚生労働職で介護保険などを担当している老健局の職員23人が、都内の飲食店で開かれた送別会に参加した。送別会は午後7時15分にスタートし、仕事が終わった職員から次々と店舗に集まり、全員が居酒屋を出たのは一部の職員は、深夜0時近くまで店に残っていた。
職員らは、午後11時まで営業している店を探して予約していた。
送別会が開かれた飲食店には、飛まつ防止のアクリル板などは設置されていなかった。
2021年3月29日
送別会問題が報道で明らかになる。
2021年3月30日
厚生労働省は、会合を主催した老健局老人保健課長Aを減給10分の1(1か月)の懲戒処分とし、同日付でAを大臣官房付に異動させた。
ほかにも、課長補佐ら14人が訓告、5人が注意・指導の処分となった。自治体からの研修生3人の処分は行わなかった。
また、監督責任をとって田村厚生労働大臣が大臣給与2か月分を自主返納し、事務次官を文書による厳重注意、老健局長が訓告の処分となった。
Aは、「政府が国民に自粛を求めていることも承知していたが、介護報酬改定を一緒に頑張ってきた仲間に感謝を表する場を設けたいという気持ちが勝ってしまった。軽率で浅はかな判断だった」と話した。
2021年9月14日
厚生労働省は、Aを国立保健医療科学院企画調整主幹に宛てる人事を発令した。
2022年6月28日
厚生労働省は、Aを厚生労働省保険局医療課長に充てる人事を発令した。