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国家公務員の給与は、民間の水準と均衡を図りつつ、全国一律の俸給表とこれを補完する諸手当から成る給与体系が法定されており、適正な水準を確保するように設計されています。
俸給の調整額は、職務の複雑困難性、責任や勤務強度、その他の勤務条件の特殊性に基づいて俸給月額を調整するものです。この記事では、俸給の調整額の概要について解説します。
- 俸給の調整額の概要
- 支給対象となる職員や金額の詳細
俸給の調整額の概要
俸給の調整額は、職務の複雑さや責任、勤務条件の特殊性に応じて、他の官職と比較して著しく特殊な職務に対して俸給月額を調整するために支給されます。
職員が従事する職務には様々な種類があるため、職務に応じた俸給表が適用されます。一般職給与法では、11種類17表の俸給表が設けられています。
ただし、業務の特殊性が著しい場合や、管理運営上の支障がある場合には、俸給表の適用が困難なため、俸給の調整が行われます。これが「俸給の調整額」です。
一般職給与法適用職員約25万人のうち、約14万人が行政職俸給表(一)が適用され、残りの約11万人がその他の俸給表が適用されています。行政職俸給表(一)が適用される職員の中でも、各府省のITやセキュリティ部門に勤務する高度専門人材の約170の官職には、業務の特殊性に基づき俸給の調整額が支給されています。
支給対象となる職員や金額
俸給の調整額の支給対象には、航空管制官、麻薬取締官、サイバーセキュリティ担当職員、刑務所・少年刑務所・拘置所等の医師や看護師長が含まれます。
俸給の調整額は、以下の計算式で算出されます。
調整数 × 調整基本額
調整数と調整基本額は、人事院規則9-6の別表で定められています。
代表例は以下のとおりです。
官職 | 俸給表 | 調整数 | 調整基本額 | 支給月額 |
---|---|---|---|---|
航空管制官 | 専行1級 | 二 | 8,500円 | 17,000円 |
麻薬取締官 | 行(一)1級 | 三 | 6,600円 | 19,800円 |
サイバーセキュリティ担当職員 | 行(一)3級 | 一 | 9,600円 | 9,600円 |
刑務所等の医師 | 医(一)3級 | 三 | 14,500円 | 43,500円 |
刑務所等の看護師長 | 医(三)4級 | 二 | 10,000円 | 20,000円 |
まとめ
俸給の特別調整額は、その職務の特殊性や困難さに応じて俸給月額を調整するための重要な制度です。この調整額は、職務の複雑さや責任、勤務環境などを考慮し、国家公務員の給与を適正に保つ役割を果たしています。
特に、航空管制官や麻薬取締官、サイバーセキュリティに従事する職員など、特定の専門性が求められる職務には、調整額が支給されることでその特殊性が評価されています。支給額は、調整数と調整基本額に基づいて算出され、具体的な金額は職務の種類等によって異なります。
この制度により、国家公務員の給与体系はより公平で、業務の実態に即したものとなっており、国家の重要な業務に従事する職員に対する適切な報酬を確保することができます。