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博物館や美術館で働くためには「学芸員」の資格が必要な場合と、特に資格が不要の場合があります。
後者の場合は「学芸員」と比較して「事務職員」などと呼ばれ、博物館の経営、総務、財務、人事などのバックオフィス業務や広報、企画、展示、利用者サービス、学習支援などのフロントオフィス業務に従事することになります。
「学芸員の資格はないけど好きなものに囲まれて働きたい」「静かで落ち着いた環境の中で仕事がしたい」方にとっては、博物館で働くことは大きな魅力です。
日本に数多く存在する博物館の中でも、今回取り上げる国立科学博物館(科博)は1877年に創立され、140年以上の歴史がある博物館で、自然史・科学技術史に関する唯一の国立総合博物館です。
施設は東京の上野と港区、茨城のつくば市に分散しており、事務系職員数は42人です。
就職するためには?
採用プロセス
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5/13~5/27受験申込み申込方法はインターネット受付のみとなります。受験申込にはパソコンで受信可能なメールアドレスが必要です。
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7/5(日)第一次試験試験時間は120分、五肢択一式の40問必答です。
合格発表は7/22です。
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7/25以降第二次試験個別面接・集団面接・適性検査など
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10/1以降内定第二次試験に合格すると内定が出ます。
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翌年4/1採用新卒の場合は翌年の4/1に採用されます。
国立科学博物館に就職するためには「関東甲信越地区国立大学法人等採用試験」(以下「統一試験」と言います)と採用面接(複数回)に合格する必要があります。
試験は毎年7月に行われます。大学4年生の7月に受験することになるので、就活のスケジュール的にはやや遅めでしょう。
統一試験に合格することができなければ国立科学博物館の面接を受けることができず、スタートラインにも立てません。
逆に統一試験に合格しても、採用面接が不合格の場合が十分にあり得ます。
したがって、国立科学博物館で働くためには、統一試験と採用面接のどちらも十分に対策する必要があります。
試験の難易度は?
関東甲信越地区国立大学法人等試験実施委員会幹事会採用試験事務室(以下「採用試験事務室」といいます)によると、2020年度の統一試験の受験者数は5748人、合格者数は1505人で倍率は3.8倍でした。これは、10人いたら3~4人が受かる計算になります。
近年は倍率が減少傾向にあり、2017年度は8.0倍だったのが、2018年度は7.3倍、2019年度は4.3倍ですので、目指すなら今がチャンスかと思います。
内容は大卒程度の一般的な公務員試験に準じていて、試験時間は120分、五肢択一式の40問必答です。
平均点や合格最低点等は発表されていませんが、7割程度正解すれば合格する確率が高いです。
統一試験に向けた勉強は大学3年生の早い段階から始める方が多いようです。
面接の難易度は?
採用試験事務室によると、2020年度の国立科学博物館の採用予定数は3人でした。
統一試験の合格者数が1505人ですから、単純に計算すると最大500倍以上となりますが、実際に国立科学博物館を志望する方はもっと少ないので、これより倍率は低くなります。
「国立大学法人等採用試験攻略ブック」によると、2018年度に国立科学博物館の採用面接を受験した人数は約70人とのことなので、倍率は約23倍となります。
近年は採用内定までに複数回の面接等が行われているようです。
まず最初に行われる集団面接で受験者を絞り、次に個別面接・集団面接・適性検査でさらに絞り、最後の最終面接で合格者を決めます。
面接はどう対策すればよいか?
採用面接では、「国立科学博物館で働きたい理由(志望動機)」「大学生時代力を入れて取り組んだこと」「自分の強みは何か、その強みを入館したらどのように発揮できるか(自己PR)」「入館したらやってみたい仕事」などが聞かれることが多いです。
特に「大学時代に力を入れて取り組んだこと」と「自己PR」は他の志望者と差別化して答えられるとベストでしょう。例えばアルバイト、部活、サークル活動、ボランティア、留学、長期インターンシップなどが考えられます。
国立科学博物館を含む多くの企業においては、上記のような活動を通じて他者と円滑なコミュニケーションをする力を身につけた学生が好かれる傾向にあります。
学生時代の学業の成績やGPAなどを重要視する企業はそこまで多くなくて、大概の企業はコミュニケーション能力をより重要視するのではないかと思います。
国立科学博物館のような人気の就職先から内定を得るためには、統一試験の勉強もこなしつつ、充実した学生生活を送り、それを熱意を持ってアピールする、そんな器用さが求められるのです。
国立科学博物館が求める人物像
国立科学博物館が求める人物像は以下の3つです。
- 国立科学博物館の役割、使命、3つの主要事業、目指す姿を理解し、幅広い視野を持って業務に取り組むことができる方
- 国立科学博物館に関わる関係法令を正しく理解し、幅広い業務について意欲的に取り組むことができる方
- 館の内外において積極的にコミュニケーションをとることができる方
3つの主要事業とは、①調査研究、②標本資料の収集・保管、③展示・学習支援を指します。
「幅広い視野」「幅広い業務に意欲的に取り組む」「積極的なコミュニケーション」などがキーワードになっていますので、自己PRを考える際は上記を意識するようにしましょう。
「幅広い視野」は「物事を多面的に考える力」と考えることもできます。
「幅広い業務に意欲的に取り組む」は「主体的に様々なことに挑戦する」と言い換えることもできます。
自らの経験を振り返り、求める人物像に合致するか考えてみましょう。
年収はいくらか
最後に国立科学博物館の年収について確認します。
2019年度の国立科学博物館の事務系職員の平均年収は720.4万円、うち平均ボーナスは191.8万円でした。
モデル年収や役職別の年収は以下からご覧ください。